- 人工知能(AI)を機械設計プロセスに活用するのに不安があるけど・・・
- 人工知能(AI)を機械設計プロセスに活用する場合の課題が分からない?
- 人工知能(AI)を機械設計プロセスに活用する場合の課題の解決策を分かりやすく教えて!
人工知能(AI:Artificial intelligence)は今後、「ものづくり分野」や我々の生活を支える多くの製品に応用されていくことが予想されます。機械設計プロセスにおいてもAIを活用することが有効と考えられますがAIのことがよく分からずその活用を妨げているケースは非常に多いです。
私は機械技術者として25年以上働いており技術士一次試験に合格しております。また、AIにおいてもまた3年程前に「一般社団法人 日本ディープラーニング協会」が主催の「G検定試験」に合格しました。この経験から、AIを機械設計プロセスに活用することは有効であると考えます。
そこでこの記事では、AIを機械設計プロセスに活用する場合の課題とどの解決策について解説します。
この記事を参考にしてAIを機械設計プロセスへ活用するための課題と解決策が理解できれば、技術士二次試験に合格できるはずです。
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1.AI活用が有効である機械設計プロセスとその技術的課題
1.1 AI活用が有効である機械設計プロセス

設計プロセスには構造検討作業、一般図作成、強度計算、製作図作成、検図、数量計算がある。この中で検図は設計者に多大な労力と時間を費やすプロセスである。この検図にAIを活用する。検図には次の作業がある。
- ①製図基準
図面はJIS(日本工業規格製図通則)に則って描かれているかチェックする必要になる。JISには様々な規則があるが、特に製図記号に間違いがないかは重要である。 - ②社内基準
図面が社内基準を満足しているかチェックする必要がある。社内基準とは使用頻度の多い汎用的な材料、部品の使用、また接合方法の取り決め等がある。 - ③構造の妥当性判断
図面上に描かれたものを組立てた際、構造上の問題がないかチェックする必要がある。構造上の問題とは各材料、部品を組み立てた際、ボルト穴位置の整合がとれているか、また、溶接代の確保ができているか等である。
1.2 技術的課題

AIに検図させる上での技術的課題は次のとおりである。
- ①暗黙知の形式知化
暗黙知を形式知へ変換することが課題である。なぜなら、検図は通常、ベテラン設計技術者が行うものであり、ベテラン設計技術者の持つ知識・経験(暗黙知)をAIに学習させることが有効であるが、暗黙知を形式知としてデータベース化することが難しいからである。 - ②3次元CADデータの作成
3次元CADデータを作成することが課題である。なぜなら、AIに構造検証させるためには干渉や組立性を確認する必要があり、製品の立体的なモデルのデータが必要であるからである。 - ③処理速度の高速化
処理速度の高速化が課題である。なぜなら、AIに検図をさせる場合、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などの画像認識技術を使用するが、その処理には多くのデータを使用したりパラメータ調整のために膨大な時間が必要となるからである。
2.技術的課題を解決するための方策

- ①暗黙知の形式知化
ベテラン設計技術者の知識・経験(暗黙知)を形式知に変換するにあたり、ベテラン設計技術者が検図中に何に着目しているか視線検出技術により視線の動きを追跡し、データ収集する。そして、その視線の動きを教師データとしてAIに学習させる。このことでベテラン技術者の持つ暗黙知をAIに学習させることができる。 - ②3次元CADデータの作成
既存の2次元CADデータを3次元CADデータに変換する作業にAIの画像認識機能を活用する。これにより、人手による作業を避けることができ労力と時間を削減することができる。 - ③処理速度の高速化
AIを用いて検図を行うためには画像解析処理が必要でこれに膨大な時間が必要である。このため分散深層学習技術を活用し、AIモデルの軽量化・高速化を図る。
3.方策に潜むリスク

検図をAI任せにすることで、AIが不適合と判断した理由がよく分からずブラックボックス化し技術者の技術力低下が生ずるリスクがある。「AIの解釈性」について現在、様々な研究がされているところであるが、これだけでは技術力低下の対策として不十分である。このため、検図した結果、不適合と判断した理由を知識ベースとして蓄積し、この知識ベースをもとにナレッジマネジメントシステムを活用を図る。これにより若手技術者が容易に知識を共有することができ自動的に技術伝承される体制を構築することができる。
4.まとめ
以上
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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皆様のキャリアアップを応援しています!!
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