- 「技術伝承」が確実にできるか不安があるけど・・・
- 「技術伝承」を行う上での課題が分からない?
- 「技術伝承」の課題に対する解決策を具体的に教えて!
日本ではこれまで経験豊富な熟練技術者により高性能・高品質な機械製品を効率的に作り出すことで国際競争力を維持してきました。しかし、昨今は消費者や社会ニーズの多様化にともない製品が生み出す機能・効用を付加価値に加えなければ競争力を維持できない状況となってきています。このような状況の中、若手技術者は高度な技術を正確かつ迅速に習得する必要があるため技術伝承の方法について変革の重要性が増しています。
私は機械技術者として25年以上働いており技術士一次試験にも合格しておりますが、技術伝承問題は早急に対策を行わなければならないが重要な課題であると考えます。
そこでこの記事では、「技術伝承」の課題を抽出しその解決策について述べます。
なお、課題の分析にあたっては次の①~③の視点に着目しています。
①メーカー側の視点(製造、設置の容易さ等)
②ユーザー側の視点(品質、機能性、利便性等)
③社会の視点(安心・安全、環境、持続可能性等)
この記事を参考にして「技術伝承」の課題が理解できれば、技術士二次試験に合格できるはずです。
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1.課題の抽出
1.1 技術伝承方法を変革する必要性

日本ではこれまで経験豊富な熟練技術者により高性能・高品質な機械製品を効率的に作り出すことで国際競争力を維持してきた。一方、昨今は消費者や社会ニーズの多様化にともない製品が生み出す機能・効用を付加価値に加えなければ競争力を維持できない状況となっている。このような状況の中、若手技術者は高度な技術を正確かつ迅速に習得する必要があるため技術伝承の方法について変革の重要性が増している。
1.2 技術伝承方法の変革における課題の分析

「技術伝承」方法の変革により働き方改革を迅速に進めるための検討項目を挙げて課題を分析する。
- ①既存技術習得の迅速化:
若手技術者には、従来の技術者に必要な能力に加えて「コトづくり」に必要な課題解決能力が求めれ、既存技術の習得を迅速に行う必要がある。そのため、若手技術者が既存技術を検索し理解しやすくするよう既存技術を体系的にまとめたマニュアルを作成することが課題となる。 - ②「暗黙知」の形式知化:
若手技術者が応用能力を養うためには長年、経験を積み重ねる必要がある。そのため熟練技術者の経験からなる「暗黙知」を若手技術者へ誤解なく伝えられるかが課題となる。 - ③「コミュニケーション力」の強化:
製品に「コトづくり」の付加価値を与えるには技術者には顧客の直面する課題を理解し、解決する能力が必要である。このため 顧客と明確かつ効果的な意思疎通を行う「コミュニケーション力」を養うことが課題となる。
2.課題の解決策
2.1 最重要課題の抽出
分析した課題の中で「②暗黙知から形式知化」が最重要であると判断した。暗黙知から形式知化は最も伝承が難しくまた、時間を要するため、目的とする技術伝承を強化するための根幹だからである。
2.2 解決策
- ①暗黙知の情報取得:
暗黙知を引き出す方法として、例えば設計(製図)、製缶加工(溶接、歪取り)、機械加工(切削)において暗黙知を定量化するため目の動きを追うIoTセンサーを熟練技術者に取付けて定量化する。これにより、言葉に表現するのが難しい暗黙知を定量化でき、また熟練技術者が日常業務に支障がなく、暗黙知の定量化を効率よく行うことができる。 - ②暗黙知の管理:
上記a)で獲得したデータを若手技術者のスキルアップに活用できる仕組みとして「管理システム」を確立する。そしてこの「管理システム」は他の知識(トラブルシューティング、マニュアル)も集合させ「知識ベース」とする。これにより、その分野に不慣れな若手技術者が現在の問題点の解決策を見つける手段が提供され、働き方改革により人材の流動性を維持しつつ安定した生産性を確保することができる。 - ③成果・結果の検証:
b)の管理システムの内容について使用したデータの成果を検証する体制を構築する。管理データベースを参考に技術を応用する際、誤った理解により事故を引き起こす危険性がある。このため管理データベースを参考に技術を応用する場合は、設計審査、設計検証の際に指摘された問題点を反映させることで管理システムの信頼性を増すことができる。
3.波及効果と新たな懸念事項
3.1 波及効果
提案した解決策により、これまで長年の経験により養われていた暗黙知を若手技術者が正確かつ迅速に習得することが期待できる。また、働き方改革より人材の流動性を維持しつつ安定した生産性を確保することが可能となる。
3.2 新たな懸念事項
解決策を遂行するためには暗黙知の管理システムに信頼性があることが前提であり、継続的に運用していくためには管理責任者を定め、技術の進歩等を考慮し内容の定期的な見直しを行う必要がある。
4.業務遂行において必要な要件・留意点
4.1 機械技術者としての倫理
暗黙知を引き出すためには熟練技術者の協力が不可欠である。このため、若手技術者の時から次世代にわたる持続可能な社会の実現に努めることを自覚してもらえるよう研修等の教育を行う必要がある。また、脱炭素社会の実現等環境に配慮する目指す意識がないと暗黙知には反映されない。このため環境に配慮することの大切さを自覚する教育を技術者へ行う必要がある。
4.2 社会の持続可能性の観点

暗黙知を形式知化し管理システムを運用するためには電力消費量が著しく増加させる。AI(人工知能)技術の開発やエネルギーハーヴェスティング技術の搭載等、省エネ技術の導入にも取り組む必要がある。
※エネルギーハーベスティング技術とは、周りの環境から微小なエネルギーを収穫(ハーベスト)して、電力に変換する技術のことで、別名「環境発電技術」と呼ばれている。
5.まとめ
以上
最後まで読んで頂きありがとうございます。
「機械設計」に関する他の記事も多数ありますので是非ご覧ください。
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