- 破壊的な新技術の開発ができるか不安があるけど・・・
- 破壊的な新技術の開発するための課題が分からない?
- 破壊的な新技術の開発するための課題とその解決策を教えて!
日本はこれまで工業立国として持続的イノベーションにより高機能、高品質な機械製品を生産することで国際競争力を高めてきました。しかし、昨今は新進国が技術力の向上により低コストで品質の高い製品を生産できるようになってきています。
私は今では機械技術者として25年以上働き技術士一次試験にも合格しておりますが、これまでの持続的イノベーションだけでは国際競争力を高めていくことは難しく、破壊的な新技術の開発の重要性が増していると考えます。
そこでこの記事では、若手の機械技術者でも分かりやすいよう「破壊的な新技術の開発する」ための課題とその解決策について解説します。なお、課題の分析にあたっては次の①~③の視点に着目しています。
①メーカー側の視点(製造、設置の容易さ等)
②ユーザー側の視点(品質、機能性、利便性等)
③社会の視点(安心・安全、環境、持続可能性等)
この記事を参考にして「破壊的な新技術を開発」する際の課題と解決策が理解できれば、技術士二次試験に合格できはずでです。
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1.新技術開発における検討課題
1.1 日本における新技術開発の必要性
日本はこれまで工業立国として持続的イノベーションにより高機能、高品質な機械製品を生産することで国際競争力を高めてきた。しかし、昨今は新進国が技術力の向上により低コストで品質の高い製品を生産できるようになってきている。このため、これまでの持続的イノベーションだけでは国際競争力を高めていくことは難しく、破壊的な新技術の開発の重要性が増している。
1.2 破壊的な新技術開発における課題分析
破壊的な新技術開発により国際競争力を高めるための検討項目を挙げて課題を分析する。
- ①実用化までの時間短縮(メーカー側の視点)
基礎研究から実用化・社会実装までの時間を短縮することが課題となる。具体的には、科学技術の進歩が急速に進む現在において、より短期間で新技術を開発しなければならない。このため、新技術を開発するにあたり、大学や研究機関等と連携を強化する方法について検討する。 - ②新たなニーズの創造(ユーザー側の視点)
新たなニーズを創造することが課題である。具体的には機械製品がコモディティ(汎用品)化し、モノを売るだけでは利益を上げることが困難になっている。新興国・途上国の躍進によって、低いコストで品質の高い製品を生産できる国が増え、また、製品そのもの及び製品の製造プロセスにおけるデジタル化と部品のモジュール化が進むことで、熟練技術をそれほど必要とせず、市場で入手できる部品を組み合わせることで高度な製品を作ることもできるようになり、モノづくりの相対的な付加価値は低くなっている。このため新たなニーズを創造することが必要である。 - ③安全性の確保(社会の視点)
新技術開発において不確実性を考慮することが課題である。具体的には、近年、消費者(使用者)を保護する各種法規制や規格、安全に関する社会の要請などがあり「再発防止」だけで対応できる時代ではなく重大な製品事故を起こすと、賠償、行政処分、リコールなどの大きな損害につながるため、「未然防止」の取り組みとして不確実性を考慮した設計等の実施検討が必要である。
2.破壊的な新技術開発上の最重要課題と解決策
2.1 最重要課題の抽出
分析した課題の中で「②新たなニーズの創造」が最重要であると判断した。なぜなら、新たなニーズの創造は目的とする破壊的な新技術の開発を行い国際競争力を高めていくための根幹だからである。
2.2 解決策
- ①VEの活用・展開
VE(Value Engineering:価値工学)を活用し、製品の「価値」を、それが果たすべき「機能」とそのためにかける「コスト」との関係で把握し、 システム化された手順によって「価値」の向上を図る。機能定義、機能評価、代替案作成を行い、アイデア発想とその評価を具現化することで新たなニーズを創造することができる。 - ②最適設計の実施
上記「①VEの活用・展開」において作成された代替案をもとに最適設計を行う。設計において決定すべき主要なパラメータ(設計変数)を選択し,安全性や有用性などを確保するために課せられる条件(制約条件)を満足する領域(許容設計領域)の中で、機能を最適化するような設計変数を決定する。 - ③最適化手法にニューラルネットワークを活用
上記「②最適設計の実施」における最適化アルゴリズムにニューラルネットワークを用いる。その際、既に提供・販売されている学習済み深層学習モデルを用いて転移学習やファインチューニングを行い、深層学習モデルを構築する。これにより、最適設計の高精度になり、かつ深層学習モデルの開発を迅速に行うことができる。
3.解決策の共通リスクと対策
3.1 解決策の共通リスク
AIで処理するビッグデータの中には生産技術にかかるノウハウ等の機密性の高い情報が含まれるため、適切に管理しなければ外部に漏洩するリスクがある。
3.2 共通リスクへの対策
データ管理者を定めるとともにデータをセキュリティー優先度毎にデータを分類し、保存期間や保持期間に関するポリシーも定める。また、データのアクセス追跡ができるシステムを導入することで不正利用の防止を図る。
4.業務遂行における必要要件
通常の事故では法的責任に応じて賠償責任がなされるが、人工知能(AI)の判断により事故が起こってしまった場合、誰が責任をとるのかを明確に定めておかなければならない。また、AIが判断したことの妥当性が技術者に理解できないままブラックボックス化してしまう危険性がある。このため、AI技術の有効性や信頼性を定量的に評価するための標準的評価手法の開発が必要である。
また、技術は日々進歩しているため、リスクについても新たな事象が生まれている。そのため、常に新しい知識を身に付け、それを反映した改良を続けていく必要がある。それでも、リスクが発現する可能性は全くなくなることはないので、適切なリスクコミュケーション※1が実施できる技術者として、倫理観や社会責任を果たす姿勢が求められる。 以上
※1 リスクコミュニケーションとはリスク分析の全過程において、リスク評価者、リスク管理者、消費者、事業者、研究者、その他の関係者の間で、情報および意見を相互に交換すること。
(厚生労働省HPより)
5.まとめ
以上
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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皆様のキャリアアップを応援しています!!
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