【技術士二次試験：機械設計】人口減少時代において「機械技術」を活用するためには？

　人口減少により労働生産人口が減少すると、これまで人的労働に頼ってきた製造現場、社会サービスの生産性が低下するため、省力化、省人化できる体制を確立する必要があります。このため機械技術を活用する必要性が増しています。

　私は機械技術者として25年以上働いており技術士一次試験にも合格しておりますが、機械技術の活用は、省力化・省人化するために重要であると考えます。

　そこでこの記事では、人口減少時代において「機械技術」を活用するにあたり生ずる課題を挙げ、解決策を提案します。
なお課題の分析にあたっては次の①～③の視点に着目しています。
　①メーカー側の視点（製造、設置の容易さ等）
　②ユーザー側の視点（品質、機能性、利便性等）
　③社会の視点（安心・安全、環境、持続可能性等）

　この記事を参考にして、人口減少時代において「機械技術」を活用する際の課題が理解できれば、技術士二次試験に合格できるはずです。

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1.人口減少時代における機械技術活用の検討課題

1.1 人口減少時代における機械技術活用の必要性

　

　人口減少により労働生産人口が減少すると、これまで人的労働に頼ってきた製造現場、社会サービスの生産性が低下するため、省力化、省人化できる体制を確立する必要である。このため機械技術を活用する必要性が増している。

1.2 人口減少時代における課題分析

　人口減少時代において、機械技術を活用することで日本の産業の生産性を向上するための課題を以下に挙げる。

• ①製造現場における生産性向上（メーカー側の視点）
  　これまでの生産体制を省人化、省力化することが課題である。具体的には生産年齢人口の減少により、製造現場においてこれまでより少ない従事技術者で生産性を維持・向上しなければならない。このため、設計、製造、検査の各プロセスで作業の効率化が必要である。
• ②使いやすい製品の開発（ユーザー側の視点）
  　誰でも使いやすい製品を開発することが課題である。具体的には生産年齢人口の減少により、女性や高齢者などがユーザーになる機会が増すことが予想される。こうした中、機械製品は誰でも使いやすいものでなければならない。このため、ユーザーインターフェースの工夫が必要となる。
• ③技術伝承問題の解消（社会の視点）
  　技術伝承問題の解消が課題となる。具体的には生産年齢人口の減少により、若手技術者の育成が困難となり技術伝承がうまく行われず、技術力の低下が懸念される。このため、技術伝承が確実に行われるような教育制度・仕組みを構築する必要がある。

2.機械技術活用における最重要課題と解決策

2.1 最重要課題の抽出

　分析した課題の中で「①製造現場における生産性向上」が最重要であると判断した。製造現場の生産性向上は目的とする人口減少時代においても「ものづくり大国・日本」として国民経済の発展を実現するための根幹だからである。

2.2 解決策

• a）設計の標準化（設計プロセス）
  　製品設計において、その都度、最初から設計を行うのではなく、設計の標準化を実施しておき設計の効率化を図る。具体的には共通仕様書の作成、共通製品の使用、数量計算書の標準化を行う。これにより、設計プロセスを効率化できる。
• b）製缶作業・機械加工の自動化（製造プロセス）
  　これまで人力に頼っていた工場内の製品運搬等の作業をロボットに代替させる。ただし、製品の全ての品種を自動化対象とすると非常に複雑かつ大規模な自動化設備となるため、自動化対象の製品を絞り込む。これにより製造プロセスを効率化できる。
• c）検査の自動化（検査プロセス）
  　品質確保のためには適正な検査は欠かせない。しかし多品種の製品に対して適正な検査を行うには多大な労力を要する。そこで検査の作業にカメラと人工知能（AI）の物体認識技術を活用し代替させる。これにより、検査プロセスを効率化できる。

3.解決策の共通リスクと対策

3.1 解決策の共通リスク

　上記の解決策はいずれも設備投資に膨大なコストがかかり、もし実施すれば会社経営を圧迫するリスクがある。また、自動化されることでそのプロセスがブラックボックス化し技術伝承が確実に行われないリスクがある。

3.2 共通するリスクへの対策

　設備投資にかかるリスクについては、経済産業省が行っている「サービス等生産性向上IT導入支援事業（IT導入補助金）」や「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」等の支援事業を活用する。また、自動化にかかるリスクについてはナレッジマネジメントを行い技術伝承が確実に行われる体制を構築する。

4.業務遂行における必要要件

　製造メーカーの目的は利益の追求であるが、同時に社会的責任を果たさなければならない。社会的責任とはIOS26000にあるように「持続可能な発展」に貢献することである。このため、機械技術者には将来の世代の人々が自らのニーズを満たす能力を危険にさらすことなく、現状のニーズを満たす努力が必要である。 ゆえに、生産コストを更に削減するだけではなく、高機能素材や低炭素・省エネ製品の開発をすることで地球環境に配慮し、併せて製品の付加価値を高め製品の差異化を図り、市場での競争力を高めることに留意すべきである。

5.まとめ

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