【技術士二次試験:機械設計】不確実性を考慮した設計とは?

  • 機械設計に「不確実性」を考慮することに不安があるけど・・・
  • 機械設計に「不確実性」を考慮する際に生じる課題が分からない?
  • 機械設計に「不確実性」を考慮する際に生じる課題の解決策を分かりやすく教えて!

 製品が市場に投入されたのち、予想もしなかった使い方をユーザーがすることにより、不慮の事故が発生する場合があります。この原因として、設計時には考慮していなかった「不確実性」があります。

 私は今では機械技術者として25年以上働いており技術士一次試験にも合格しておりますが、機械設計に「不確実性」を考慮することは未然防止の観点から重要であると考えます。

 こでこの記事では、若手の機械技術者でも分かりやすいよう「不確実性」を考慮した機械設計を行う場合の課題とその対策について解説します。なお、課題の分析にあたっては次の①~③の視点に着目しています。
 ①メーカー側の視点(製造、設置の容易さ等)
 ②ユーザー側の視点(品質、機能性、利便性等)
 ③社会の視点(安心・安全、環境、持続可能性等)

 この記事を参考にして、「不確実性を考慮した機械設計」を行う場合の課題とその解決策が理解できれば技術士二次試験に合格できるはずです。

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目次

1.検討項目とその要点

1.1 不確実性を考慮した設計の必要性

 製品が市場に投入されたのち、予想もしなかった使い方をユーザーがすることにより、不慮の事故が発生する場合がある。この原因として、設計時には考慮していなかった「不確実性」がある。これより事故の「未然防止」の活動を行うため不確実性を考慮した設計の必要性が増している。

1.2 不確実性を考慮した設計手法の検討項目分析

 設計に不確実性を考慮することでリスクの低減を図るための検討項目を挙げて要点を整理する。

  • a)耐力や外力の不確実性を考慮(メーカー側の視点)
     設計を行う際、地震等の外力の不確実性を積極的に取入れることが課題である。機械には台風や地震等の自然災害等で予期せぬ外力が働き、強度不足で損傷、破壊される危険性があるため、不確実性を考慮して設計をすることが重要である。
  • b)操作ミスに対する影響を考慮(ユーザー側の視点)
     設計を行う際、不具合が生じた時に安全な状態に移行できるようにすることが課題である。不慣れな使用者が操作ミスした際に誤作動等により故障し、使用者に危害が加わる危険性があるため、安全な状態に移行する仕組みを組み込むことが重要である。
  • c)運転の継続性を考慮(社会の視点)
     設計を行う際、機器の不具合時にも継続運転ができるように冗長性を持たせることが課題である。機械設備が一度故障し、運転停止してしまうと社会機能がストップしてしまうため、継続運転ができる仕組みを組み込むことが重要である。

2.不確実性を考慮する設計手法における最重要課題と解決策

2.1 最重要課題の抽出

 分析した課題の中でb)操作ミスに対する対策に対する検討が最重要であると判断した。b)操作ミスに対する対策を施すことは目的とする使用者へのリスクを低減するための根幹だからである。

2.2 課題を解決するための技術提案

  • a)リスクベース設計の実施
     リスクベース設計を実施する。使用者の誤操作により設計時点でリスクを洗い出し、万が一故障してもその影響を最小限に食い止める対策をあらかじめ講じておく。このことで、操作ミスをしても使用者の安全を確保できる。
  • b)フールプルーフ設計の実施
    取扱説明書のとおりに操作していれば、誤操作は基本的には発生しない。 しかし、「人は間違えることがある」、「不慣れな人が扱うことがある」など間違えた使い方をすることを前提としたフールプルーフ設計を行う。このことで、操作ミスをする可能性が減り、使用者の安全を確保できる。
  • c)フェールセーフ設計の実施
     フェールセーフ設計を実施する。故障や誤作動、誤操作は起きるものだという前提に立ち、そのような場合に自動的に安全側に導くような制御方式や動作原理を設計や構造に組み込む。このことで操作ミスをしても使用者の安全を確保できる。

3.技術提案がもたらす効果と潜むリスク

3.1 技術提案がもたらす効果

 操作ミスに対する対策を講じることで、使用者の安全性が確保でき、不確実性によるリスクを低減できる。

3.2 技術提案に潜むリスク

 本質的安全設計方策を行うことで機械的危険源を取り除くことができるが、機械設備の本来機能までもが損なわれるリスクがあり、本質的安全設計方策をどの程度、実行していくか、または停止安全や隔離安全等別の手段などを併用することも検討する必要がある。

4.まとめ

【「不確実性」を考慮した機械設計を行う場合の課題とその解決策】
  • 検討課題
    ①耐力や外力の不確実性を考慮(メーカー側の視点)
    ②操作ミスに対する影響を考慮(ユーザー側の視点)
    ③運転の継続性を考慮(社会の視点)
  • 最重要課題と解決策
    最重要課題:「①操作ミスに対する対策」
    解決策:
    ①リスクベース設計の実施
    ②フールプルーフ設計の実施
    ③フェールセーフ設計の実施
  • 解決策がもたらす効果とリスク
    効果:不確実性によるリスクを低減
    リスク:機械設備の本来機能までもが損なわれるリスクがある。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございます。
皆様のキャリアアップを応援しています!!

                                                                    

                                                                   

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