【技術士二次試験:機械設計】国際標準化を推進するためには?

  • 「国際標準化」の取組に不安があるけど・・・
  • 「国際標準化」の阻害要因が分からない?
  • 「国際標準化」の阻害要因を分かりやすく教えて!

 工業製品の設計・生産・販売のグローバル化の進展に伴い、国際標準化に関する取組の重要性が増しています。    

 私は機械技術者として25年以上働いており技術士一次試験にも合格しておりますが、「国際標準化」の重要性が増していると考えます。 

 そこでこの記事では、機械設計技術者の立場から国際標準化を推進するための課題とその解決策について述べます。なお、課題の分析にあたっては次の①~③の視点に着目しています。
 ①メーカー側の視点(製造、設置の容易さ等)
 ②ユーザー側の視点(品質、機能性、利便性等)
 ③社会の視点(安心・安全、環境、持続可能性等)

 この記事を参考にして「国際標準化」を推進するための課題が理解できれば、技術士二次試験に合格できるはずです。

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目次

1.国際標準化を推進するための課題

文字素材 ISO 9001

 製品の具体例として、自動車などの機械に取り組まれる「ネジ」を挙げる。ネジに関する代表的な規格を以下に示す。

 ネジを使用する場合は、規格のサイズから選定し、機器に組み込める様に設計する。上記の規格は一部が重複するものの、生産国や業界によって規格が異なり、グローバル化を進める上での障害となっている。ネジの国際標準化に関する課題について述べる。

  • ①需要が少ない規格への対応
     需要の少ない規格はコストが高く、調達にも時間を要する。このような需要が少ない規格は国際標準化の際に規格から除外される可能性がある。しかしながら、このようなネジは精密機器などの特定分野に集中して使用されている場合があり、該当サイズを使用している機器はさらにコスト増となる。需要が少ない規格は市場への影響を十分考慮して、統廃合することが課題である。
  • ②微小サイズへの対応
     小型化が求められる機器では、極力小さいサイズのネジを選択する。国際標準化によって選択肢が減少した場合、規格外のネジを採用することになり、標準化効果が得られない。小さな機器ほど、ネジのサイズが小型化に与える影響が大きいため、微小サイズの範囲では種類を多く設定することが課題である。
  • ③標準化部品の不具合防止
     国際標準化を行うことで、ネジを組み込む関連部品の設計が共通化され、一定の機能を持つ構成要素の標準化が進むと考えられる。一方、設計が同じでも過酷な使用条件ではネジの性能が低下し、構成要素に不具合が発生する可能性がある。このため標準化によって、不具合が拡大しないようにすることが課題である。

2.最重要課題の抽出とその解決策

2.1 最重要課題の抽出

課題 スケッチブック

 前述の課題のうち、最も重要な課題として「③標準化部品の不具合防止」を挙げる。なぜなら構成要素に不具合が発生した場合、対象機器の台数が多くなり、対応に時間がかかるからである。具体的な解決策を以下に示す。

2.2 最重要課題の解決策

解決策
  • ①使用条件の明確化
     構成要素が使用可能な条件を明確にし、ネジの性能を超える条件下での使用を制限する。ネジの標準化において、使用条件を明確にし、用途を制限することで、構成要素の不具合発生を防止できる。
  • ②信頼性の向上
     ネジのサイズ許容区間に応じて公差域クラスを設定する。ネジ締結体の設計においては、ネジ部品および被締付け物の機械的性質等を考慮してネジ締結体としての機能を十分に果たす適正な締付け力を決定し、また、工業的にはその目標値をいかに精度よく締め付けることでネジ締結体の信頼性が向上する。その結果、それらを組み込んだ構成要素の信頼性を向上させることができる。適切な公差域クラスを選択することで、オーバースペックによるコスト増も抑制できる。

3.解決策に新たに生じるリスクとその対策

3.1 解決策に共通して生じるリスク

RISKと曇天

 国際標準化されることで、ネジを使用した構成要素が低コスト、短納期で調達できるようになると考えられる。一方で、機械要素の設計が固定化され、技術改善の機会を失うリスクがある。また、構成要素の設計技術が伝承されず、不具合が生じた際に対処できないという恐れもある。構成要素を設計に組み込む場合は、その技術を理解し、機能が十分に発揮できるように配慮しなければならない。

3.2 リスクへの対策

リスクの回避イメージ

 上記対策として、標準化された規格の定期的な見直しを行う。加工技術が進化し、極小サイズのねじが製造可能になった場合、それらを規格化することで構成要素の小型化が進む。これにより、構成要素の設計技術の進化と伝承が促進される。標準化は従来の複雑にカスタマイズした設計において生じる手間やコストの削減や他製品に流用することができる等のメリットがある有用な手段である。適切に運用し、技術の向上に努めなければならない。

4.まとめ

【国際標準化を推進するための課題と解決策】
  • 国際標準化を推進するための課題
    ①需要が少ない規格への対応
    ②微小サイズへの対応
    ③標準化部品の不具合防止
  • 最重要課題の抽出とその解決策
    ・最重要課題:③標準化部品の不具合防止
    ・解決策:
     ①使用条件の明確化:構成要素の不具合発生を防止できる。
     ②信頼性の向上:目標値をいかに精度よく締め付けることでネジ締結体の信頼性が向上する。また、オーバースペックによるコスト増も抑制できる。
  • 解決策に新たに生じるリスクとその対策
    リスク:技術改善の機会を失う、設計技術が伝承されない。
    対策:標準化された規格の定期的な見直し

以上

最後まで読んで頂きありがとうございます。
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