- 製品がコモディティ化し、製品の収益性が低下して不安・・・
- アフターサービスや定額制サービスなどへ適応が可能となるような製品を設計する際に生じる課題が分からない?
- アフターサービスや定額制サービスなどへ適応が可能となるような製品を設計する際に生じる課題の対策を分かりやすく教えて!
昨今、グローバルレベルで製品(=モノ)がコモディティ化し、機能や性能で差異化しづらく製品の収益性低下を招いています。また、顧客はモノよりも顧客体験価値(=コト)を重視し、所有から利用へ価値がシフトしています。
私は機械技術者として25年以上働いており技術士一次試験にも合格しておりますが、昨今の新興国の技術力向上に脅威を感じています。
そこでこの記事では、機械技術者の立場からアフターサービスや定額制サービスなどへ適応が可能となるような製品を設計する際に生じる課題とその解決策について述べます。なお、課題の分析にあたっては次の①~③の視点に着目しています。
①メーカー側の視点(製造、設置の容易さ等)
②ユーザー側の視点(品質、機能性、利便性等)
③社会の視点(安心・安全、環境、持続可能性等)
この記事を参考にしてアフターサービスや定額制サービスなどへ適応が可能となるような製品を設計する際に生じる課題が理解できれば、技術士二次試験に合格できるはずです。
1.サービスへ適応させた製品を設計する際の課題の分析
ここでは機械製品の例として、逆圧で止水する前面4方ゴム水密の水門を挙げてサービスへ適応させた製品を設計する際の課題を抽出する。
- a)ライフサイクルを考慮した設計(メーカーの視点)
製品を品質や機能性だけを考慮して設計してしまうと、部品交換や修理が難しくなりアフターサービスが困難である。よって、メンテナンス性が容易な製品設計を実施することが課題である。 - b)メンテナンス体制の確立(ユーザーの視点)
製品を利用しやすく便利な状態を維持できなければならない。部品交換また、製品不具合時には復旧作業等をしなければならない。よって、メンテナンス体制を確立することが課題である。 - c)情報セキュリティーの強化(社会の視点)
アフターサービスをするためには顧客から製品に関する機密情報を入手しなければならない。よって、入手した情報のセキュリティー対策が課題である。
2.最重要課題の抽出と課題の解決策
2.1 最重要課題の抽出
抽出した課題のうち「b)メンテナンス体制を確立する」ことを最重要課題と判断した。メンテナンス体制を確立することは目的とする顧客との関係性を強化し、収益性を向上な競争力を向上することの根幹だからである。
2.2 技術提案
上記の最重要課題に対する解決策を次に述べる。
- a)設計の標準化の推進
メンテナンス体制を確立する上でメンテナンス性の向上が重要である。このため、設計の標準化を行う。これにより、従来の複雑にカスタマイズした設計において生じる手間や費用の削減や他製品に流用できる等のメリットがあります。 - b)ライフサイクル設計の推進
メンテナンス体制を確立する上で製品の企画から再利用まで各段階での製品の要求事項やその取り扱いについて設計の時点で検討しておくことが大切である。このためライフサイクル設計を推進する。ライフサイクル設計を行うことでアフターサービスに必要な資源やエネルギー使用量などの大幅な削減が期待できる。 - c)PLMシステムの有効活用
メンテナンス体制を確立する上で製品の企画・設計・生産・販売・状態監視・廃棄までの一連の工程における情報を管理することが重要である。このためPLM(Product LifecycleManagement)システムの活用がを行う。PLMシステムを活用することでメンテナンス体制が強化できる。
3.新たに生じるリスクとそれへの対策
3.1 新たに生じるリスク
提案した解決策は、いずれも会社組織内で自己完結することを想定したものであるが、もし、その解決策を上回る大規模自然災害等が発生した場合、すなわち通信ネットワークが遮断され、在庫部品が破壊された場合は一会社組織だけでは対応できないリスクがある。
3.2 リスクへの対策
大規模災害に対して被害を受けた生産設備の修理・復旧を遂行するにあたり、一会社組織内で自己完結できるよう対策を講ずることは難しい。唯一の対策は、近隣周辺の同業他社や部品の取引先等と相互に情報共有や技術協力を行うことで、提案した解決策を遂行できるような協力体制を構築することがリスクへの対策となる。
以上
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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また、「キャリアデザイン」設計についてサポートサービスも行っていますのでご興味がありましたら併せてご覧ください。
皆様のキャリアアップを応援しています!!
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